源六は民宿らしい民宿です。ホテルのような施設や設備はありませんが、
その分、心温まるおもてなしと、いきとどいた接客ができると自負しております。

手作りの料理、ちょっとしたこだわりの品々…
どれをとってみてもご満足のいただけるものと思います。

ぜひ一度、この山陰の片田舎に足を運んでください。
きっと日頃の疲れをとり、ゆっくりとした時間の中で、
明日への元気が湧いてくるものと思います。

●女将のエッセイ

ムーミンの国

嶋田 冨美代

世界には、中国の天安門事件、イラク、アフガニスタンなどの中東戦争、クルド人の難民問題、ミャンマーの軍事弾圧など紛争は多々あれど、第二次世界大戦後に生まれた私にとって、戦さとは令和四年の二月より始まった、ロシアによるウクライナ侵攻のインパクトがつよい。やはり、北方領土や尖閣諸島問題が身近に迫ってきているからともいえる。今回は直近で令和四年に『朝日歌壇』に掲載されていた投稿者の共鳴できる短歌を挙げてみたいと思う。

 

モザイクは市民の遺体 後ろ手に縛られている手だけが見える

五月十五日 川上 美須紀

道端や野良に横たわる遺体、顔にモザイクがかかっているのだが、手が縛られたまま射殺されている。遺体には爆弾が仕掛けられていて、ウクライナ側が処理しょうとすれば、爆発仕組みになっている。遠隔で処理しているところを、西側諸国に公開すれば、ロシア側はウクライナ側の仕業で、作り話だという。

 

映るたびテレビのチャンネル替える妻 替えても替えてもプーチンがいる

六月十二日 愛川 弘文

私も同じ思いで、もう見たくないといつも思っている。どうにかならないか、プーチンさえと思ったりするが、マトリョーシカの如く、プーチンめいた指導者が次々に現れそうだ。上手くまとめておられると思う

 

ムーミンの国にあまたのシェルターと兵役ありと知る聖五月

六月十二日 瀬口 美子

映画やアニメの世界で平和で神秘的なイメージのウクライナ。誰も外部からの侵入を警戒し、これだけの広大で頑丈なシェルターを構築していたなんて考えもしなかっただろう。特にマリウポリのアゾフ製鉄所の地下壕は驚愕に等しかった。ロシヤに連れていかれた千人強のアゾフ隊の運命は国際の捕虜の法律に則って裁かれてほしい。

 

争は話題にならず静かなる事務所に響くコピー機の音

六月五日 月城 龍

私たちは毎日のようにウクライナの侵攻が平和に収束しないか、話題にしたり、吐息を吐いたりしているのだが、平穏な日本の中で、仕事をしている周囲から何の反応もなかったら、敗北感で、私のこの心を癒してくれるものたちがいない寂寥感をひしと感じてしまうだろう。一日も早期の平和的な戦争停止が望まれて仕方がない。

2023.5.18 源六・女将 嶋田冨美代