●松葉ガニのブランド「柴山港」でのランク分け
▼香住で松葉ガニの漁獲の中心地「柴山港」ではカニの分類が約60段階と非常に細分化されています!
番ガニ
甲羅の大きさが13〜15cm、重さが1kg以上の最高級のカニです。
一番ガニから七番ガニまであります。
出ガニ
甲羅の大きさが11〜12cm、重さが800g前後の上質のカニです。
出大、出中、出小と3ランクに分かれます。
※番ガニで7ランク、出ガニで3ランク、つまり番ガニ出ガニが上位10ランクのカニということになります。
沖ガニ
甲羅の大きさが10〜11cm
小さめで上質のカニが、沖大、沖中、沖小といった感じに分かれます。
箱ガニ
甲羅の大きさが10〜11cm
小さめのカニが、箱大、箱中、箱小といった感じに分かれます。
ボタガニ
上ボタ、小ボタ、下ボタ等、
甲羅は番ガニや出ガニ同様の大きさですが、少し軟らかいものです。
その他
上記のそれぞれのランクに対し、
少し黒っぽい“スス”、指の取れた“指落ち”等があります。
柴山港では、昔からその品質基準の審査が厳しく、松葉ガニのランクは約60段階にもなることで有名です。その厳密な審査をクリアした松葉ガニのみ柴山ガニの証であるピンクのタグが取付けられます。
そのタグには、船名が入っており、漁師の誇りのあらわれでもあります。
▼松葉ガニの値段って?
松葉ガニと言っても1匹千円くらいのものから、3万円以上するものまであります。また、その保存方法も船内冷凍、陸揚げ冷凍、そして解凍方法も多種多様で味も値段も大幅に変化します。12月、1月、2月はある程度高く、また正月・休前日も平日より高くなります。価格については常に流動的なものになります。
【源六の松葉ガニ Q&A】
●カニは何匹つきますか?
よくそういう質問をされます。カニも1kgを越える番ガニから、軟らかいボタガニまで様々です。また、コースにより量も異なります。番ガニ・出ガニであれば1匹食べればお腹いっぱいになります。また小さいものなら多くのカニを提供できますが、良いものがあれば大量にということは出来ません。

●食べ放題ですか?
それはそれなりのカニのことです。
香住のカニを使用して食べ放題には今のところできません。

当館の「番ガニコース」ですが、上記の表の番ガニ・出ガニを使用しています。
基本的にはご予算をご指定になれば、それに応じてカニをお出しすることはできます。
本場ならではの選別方法で選ばれた自慢の松葉ガニをご賞味いただければ幸いです。

●カニは7〜8年もかかって、やっと親ガニになるのです。
▼松葉ガニ(ズワイガニ):クモガニ科
ズワイガニのオスのことを「松葉ガニ」と呼んで、メスのことを「セコガニ」と呼ぶ。棲んでいる所は、北限はベーリング海、南限では金華山沖、日本海側では、朝鮮海峡である。日本海区では、水深約200〜450m、水温1〜4℃位の海底にいる。
一生を大きく分けると、卵、幼生、稚ガニ、幼ガニ、親ガニとなる。一年間親ガニ(セコガニ)に抱かれていた卵(4〜7万粒)が春にふ化し約3ヶ月位で稚ガニになる。
カニは甲殻を脱ぎかえて(脱皮現象)成長して行く。最初の一年に3回、2年目に2回、3年目からは年に1回位脱皮し、7〜8年で親になる。(おす甲幅約8.3cm、めす甲幅約7.5cm)めすはこれで成長がとまり、おすはさらに脱皮して大きくなる。(甲幅14〜15cm)脱皮の時が「ミズガニ」と呼ばれ、その後次第に硬さを増してくる。
▼ベニガニ(ベニズワイガニ):クモガニ科
ズワイガニに似ているが色が全体に赤く、甲の一番幅の広い部分の側、縁に一本の棘(とげ)があり区別できる。
●一口メモ
▼松葉ガニの名前の由来は?
ズワイガニのオスのことを山陰地方では松葉ガニという。なぜ松葉と名付けられたのかは諸説がある。カニの足の殻をはいで水につけると身が松葉のように広がるからとか、昔ゆでるため浜に大釜を据え松葉を集めて燃やしたからだとか、だがいづれも定かではない。ちなみに北陸では越前ガニと呼ぶ。
▼カニが泡をふくのはなぜ?
水から出されると、水中から酸素を取る事が出来なくなるので、止むなく泡を出し、泡の表面に接した空気中から、泡の表面にとけ込んだわずかな酸素を取り込むための生理現象であり、カニにとっては酸素困難という重大ピンチの時でもある。
▼カニを煮ると赤くなるのはなぜ?
甲殻にはカロチノウド系の色素であるアスタキサンチンという物質が含まれている。生のときこれが蛋白質と結びついているが、加熱すると熱によって蛋白質が変化を起こし空気中の酸素によって酸化して赤くなる。
▼カニの「みそ」って、どこのこと?
カニのみそと呼ばれているのは肝臓で、この中に多量の脂肪やグリコーゲンが含まれている。従って栄養分が豊富で、食べて旨いばかりでなく栄養補給にもよい。
●最近思う、環境ホルモンによりカニへの影響
最近環境ホルモンの作用が自然体系にも影響をおよぼしているとよく言われております。
その中で気になることとして、セコガニ(松葉ガニのメス)の飯を作るとき気づきました。
最近思うのですが、2・3年前までは全てのセコガニの腹にいっぱいの卵がつまっておりましたが、現在は2・3%の割で卵の入っていないセコガニがおります。気温の温暖化で、卵を早く出してしまったのか、それとも最初から卵がないのか研究しておりませんが、奇形に近いものが目立ちます。
●但馬沖深層水利用研究会発足
平成12年10月25日(水)香住町文化会館にて「但馬沖深層水利用研究会」が発足され、”但馬沖深層水の利用とまちづくり”と題した講演会が開かれました。今後に期待したいと思います。
▼海洋深層水とは・・・
海洋深層水の資源性は、低温・清浄・富栄養(肥料)などがあり、この他、塩・金属類・清浄水などの資源性も着目されている。これらはいずれも人間が必要とする基本的な資源で、海洋深層水に全て含まれる。海洋深層水は資源量が大きく、清浄・富栄養などの資源性はローカルには数ヶ月で生成され、グローバルには数十年から数千年で循環するといわれ、再生循環型の資源である。資源性は周年安定しているが、水深の浅いところでは場所や季節で資源量が若干変動する。ただ、海洋深層水は資源密度が低く、資源性の利用にあたっては工夫の必要なものが多い。
海洋深層水の利用は低水温を活用する海洋温度差発電が最初で、その後、発電の経済効率を高めるために、米国では1980年代から二次利用としての富栄養性・清浄性を利用した水産養殖・健康食品などへの技術開発が進んでいる。
国際的な研究開発が進む中、日本でも1997年1月に海洋深層水利用研究会が発足し、研究・資源利用の技術開発の促進、情報交換などが活発になり現在に至る。
【資料:1999年『海洋深層水利用研究会ニュース第3巻第1号』より抜粋】